2016年2月22日月曜日

朝日新聞が外務省に抗議-朝日新聞が慰安婦問題の元凶であることについての詳細分析


前回、日本政府が国連の場で朝日新聞の名前も挙げつつ、慰安婦について広まった誤解について反論した話をご紹介しました。

さて、これに対してあろうことか朝日新聞が外務省に申し入れというかたちで抗議しています。さすがに呆れました。

http://www.asahi.com/articles/ASJ2L46V7J2LUTIL00Y.html

「慰安婦問題は朝日新聞のせいで世界に広まり国際問題となった」という明確な責任だけはどうしても認めたくないのか、必死の悪足掻きです。

朝日の主張1:申入書では、国際的な影響について、朝日新聞の慰安婦報道を検証した第三者委員会でも見解が分かれ、報告書では「韓国の慰安婦問題批判を過激化させた」「吉田氏に関する『誤報』が韓国メディアに大きな影響を及ぼしたとは言えない」などの意見が併記されたと説明。国際社会に大きな影響があったとする杉山氏の発言には根拠が示されなかったと指摘した。(略)朝日新聞による慰安婦報道を検証する「第三者委員会」が2014年12月22日に公表した報告書で、「国際社会に与えた影響」については三つの報告が併記された。このうち吉田清治氏の証言(吉田証言)をめぐる報道について触れた主な部分は以下の通り。
 

ここは非常に姑息です。全体としては朝日新聞報道が国際的な影響を与えたかどうかについての議論のはずなのに、いつの間にか吉田証言をめぐる報道について触れた主な部分は~」とすり替えています。そして一見、朝日新聞の吉田清治関連報道だけを見れば韓国への影響はほとんど無かったという結論に導いています。

①岡本行夫委員、北岡伸一委員
「(日本軍が、 直接、集団的、暴力的、計画的に多くの女性を拉致し、暴行を加え、強制的に従軍慰安婦にした、という)イメージの定着に、吉田証言が大きな役割を果たしたとは言えないだろうし、朝日新聞がこうしたイメージの形成に大きな影響を及ぼした証拠も決定的ではない。しかし、韓国における慰安婦問題に対する過激な言説を、朝日新聞その他の日本メディアはいわばエンドース(裏書き)してきた。その中で指導的な位置にあったのが朝日新聞である。それは、韓国における過激な慰安婦問題批判に弾みをつけ、さらに過激化させた」


②波多野澄雄委員
「朝日新聞の吉田氏に関する『誤報』が韓国メディアに大きな影響を及ぼしたとは言えない」


ここも姑息過ぎて呆れます。都合良く前後を切り取っています。原文は「80年代の吉田清治氏に関する韓国内の報道は、朝日新聞が最初ではない。こうした意味では、朝日新聞の吉田氏に関する「誤報」が韓国メディアに大きな影響を及ぼしたとは言えない。むしろ、朝日新聞の問題点は、はるか以前から韓国内で定着していた慰安婦は挺身隊を意味するものとの理解について、その混同を明確に認識するソウル支局員がいたにもかかわらず、無批判に受け入れていたことにあろう」(報告書53~54ページ)が正しいのですが、これを一部のみ切り取って別の意味としています。さらに言えば、報告書53~72ページに亘る波多野委員の報告は全体として「朝日新聞の報道が1992年1月の報道を中心として日本政府を謝罪に追い込んで行った」という趣旨であり、またもや朝日お得意の捏造・偏向報道かというところです。
 
③林香里委員
「国際報道調査のもっとも端的な結論は、朝日新聞による吉田証言の報道、および慰安婦報道は、国際社会に対してあまり影響がなかったということである」


この委員の主張については以前のエントリにて論理的にもその信憑性が怪しい旨指摘しました。
また、 林香里という人自身が先日敗訴となった吉見義明教授の対桜内前議員慰安婦裁判の支援者の一人であり、その意味でも上記主張に全く信頼性はありません。

そしてそもそも朝日新聞が錦の御旗のように活用する第三者委員会報告書ですが、これ自体が大して信用できない代物です。第三者委員会報告書格付け委員会という外部の団体による不祥事が起きた企業各社の第三者委員会報告書への評価では朝日新聞はこれまで7件中で最低の評価実質失格扱いとなっています。

朝日の主張2: 女子挺身隊と慰安婦を混同して報じた点について、朝日新聞社はおわびし、訂正しているが、20万人という数字について、「女子挺身隊と慰安婦の混同がもとになったとは報じておりません」と指摘した。慰安婦の人数については諸説あることを報じていることも伝えた。


ここは重箱の隅のような議論ですが、確かに朝日新聞が明確に「挺身隊=慰安婦=20万人」と誤報したわけではありません。むしろもっと悪い事に「開設当初から約8割が朝鮮人女性だったといわれる。太平洋戦争に入ると、主として朝鮮人女性を挺身隊(ていしんたい)の名で強制連行した。その人数は8万とも20万ともいわれる」(宮澤訪韓直前の92年1月11日付朝刊1面)」という悪質な用語メモのせいで「8~20万人の挺身隊の名で強制連行された慰安婦の約8割が朝鮮人女性だった」という誤解が広まり定着していきました。この92年1月11日の記事が韓国で炎上していく様子は上記波多野氏の報告書に詳しいです。朝日はさらにそれら韓国の報道(「小学生まで慰安婦に」など)を逆輸入もしていました。ご存知の方も多いかと思いますが、例の「慰安婦少女像」はこの「小学生慰安婦」がモチーフとなっています。

では朝日新聞が慰安婦問題の元凶であるか否か、ということについて総合的に考えてみましょう。

①上記の失格とされた朝日新聞の第三者委員会報告書でも全体のトーンとしては朝日新聞の責任は大きいとされている。(林氏が入った事によって全会一致で有罪とはしなかったかたちを担保)

朝日新聞自身が1994年1月25日の朝日新聞115周年記念特集において「政治動かした調査報道」と称して自分達が政治に影響を与えたことを自慢げに書いていた。(後にまずいと思ったのか、吉田清治に絡むことを理由として本記事は取り消し)

自民党の「日本の名誉と信頼を回復するための特命委員会」によっても「国際社会に誤った認識を植え付けた朝日新聞の責任は大きい」との結論。

④朝日新聞を厳しく批判する立場の人達「独立検証委員会」当然ながら朝日の責任は大きいという見解であり(「92年1月強制連行プロパガンダ」と命名)、その報告書では詳細に朝日の責任の分析をしておられます。

今回の居直りについては福島原発問題(「吉田調書」問題)で朝日新聞の捏造を追及し、圧力を受けながらも朝日新聞を謝罪に追い込んだ門田隆将氏もとても良い記事を書いておられます。私もほぼ同じような感想です。

決定的証拠が無いため「関係ない」と必死で逃げたり居直っている朝日新聞ですが、以上の事から慰安婦問題の責任からは逃れられないものと思います。朝日新聞の名誉にかかわるから今回抗議したということかもしれませんが、事は国の名誉と国益にかかわることでもあります。疚しいことが無いなら国会等の場で堂々と決着を付けますか?

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