2015年6月14日日曜日

朝日新聞の慰安婦問題反撃開始宣言記事を検証する1

しばらく時間が経ってしまいましたが、先日、朝日新聞で大きめの慰安婦関連記事が出ました。

その問題点を指摘していきたいと思います。

今回は4名の座談会形式となっております。

司会の荻上チキ氏は「サイレントマジョリティ」で知られる方です。

小野沢あかね氏は読む限り典型的な感じの方です。日米韓で多くが触れない「日本人『慰安婦』」という本を出しておられるので、機会があれば図書館で借りて読もうかと思っています。

尹明淑氏は日本軍慰安婦は許せない、もっと言えば日本の植民地支配こそが元凶、というスタンスでこれも典型的韓国人です。

今回最も右、という訳でも無いと思いますが、東郷和彦氏は元外交官ですね。

今回は論評ではなく、各人の主張を要約していきます。(全文はこちらでご確認下さい

今年は戦後70年、日韓国交正常化50年の節目にあたります。しかし、慰安婦問題などが壁となって日韓関係は混迷を深めており、米国なども事態を憂慮しています。解決の糸口をどこに見いだすことができるのか。若手評論家・荻上チキさんの司会で、日本の大学教授、韓国の研究者、元外交官に参加いただき、それぞれの立場から語り合ってもらいました。

小野沢あかね 
「慰安婦制度の最大の問題は、日本軍が設置、管理し、利用した慰安所で女性の意思に反した性行為の強要があった」
「民間業者による慰安婦の徴集も、日本軍の指示によるものだったことが明らか、よって軍の責任は免れない」
「慰安婦は公娼ではないし、当時の公娼自体が人身売買された性奴隷に等しかった」
「『売春婦なら慰安婦にされていい』という発想には人権認識が欠如している」

東郷和彦 
「国内では首根っこをつかんでトラックに乗せたか否かといった『狭義の強制性』に関心が集中し強制連行がなければ問題ないという見方があるが、海外では慰安婦制度は女性の人権の問題として『絶対許せない』という国際世論がある」

尹明淑 
「慰安婦制度の国家責任は戦時の性暴力被害のほか、植民地支配の責任が問われるべき」
「軍に選ばれた業者などが就業詐欺や人身売買で女性を集められたのは、まさに植民地だったから」
「米国の戦後処理の責任もある」
「インドネシアでオランダ人女性を慰安婦にした日本兵らは処罰されたが、(中略)戦後処理の過程でアジア人女性を慰安婦にしたケースは処罰されなかった」
「これら植民地支配と戦後処理の責任まで問うことが、慰安婦問題の解決だ」
「さらに、この問題の犯罪性は戦時中にとどまらない、戦後、
 ・占領軍向けに特殊慰安施設協会(RAA)
 ・朝鮮戦争中は韓国軍慰安隊
 ・1960~70年代に在韓米軍慰安婦
などがあるがこれらは全て日本の慰安所制度が形を変えて引き継がれたもの、全て日本が悪い」

東郷 
「できるところからトゲを抜いていくべきで、いきなり植民地主義や戦後処理に議論を広げるのは反対、植民地主義の議論は欧米を含めてまだ進んでいない」

小野沢 
「河野談話後も500点以上の資料が研究者により見つかっている」
「軍や警察など日本の公文書、台湾総督府、米国、オランダの公文書、戦犯裁判資料が含まれ、日本軍が暴力や詐欺で慰安婦を強要した事実がわかる公文書も出てきている」
「被害者や日本兵の証言も豊富にある」

尹 
「2013年に韓国の国家記録院で、朝鮮総督府や軍が残した資料を調査したが、資料自体がほとんど残っていなかった」
「数年前、(橋下)大阪市長が『韓国サイドに証拠があると言うなら出してもらいたい』といった発言をしたが、資料がないから証明できないという話ではない」
「むしろ日本政府が資料を廃棄した責任こそ問われるべきだ」
「朴裕河(パクユハ)氏(韓国世宗大教授)の著書『帝国の慰安婦』については、国家より朝鮮人業者の責任を強調しており、植民地での徴集業者の仕組みをよく分かっておらず、日本でリベラル派がこの本を支持することは問題だ」

小野沢 
「自由を奪われ性行為を強要された慰安婦の実態は、1926年にできた奴隷条約の「奴隷」の定義に当てはまるというのが国連などでの常識」
「(従って)たとえピクニックなどをすることがあったとしても、慰安婦をやめる自由がなければ性奴隷である」

東郷 
「『性奴隷』や『レイプセンター』という言葉には賛成できない、その視点で議論を貫こうとすれば、問題の解決を非常に難しくするのではないか」

小野沢 
「安倍首相は最近、慰安婦について「人身売買の犠牲(者)」と発言した、軍による暴力連行でなく人身売買なら日本政府の責任にならないと考える人がいるが、それは間違いだ」
「慰安婦にする目的で女性を人身売買して国外移送することは、刑法226条や21年の『婦人及児童の売買禁止に関する国際条約』に違反していた」
「日本政府は禁止するどころか、軍の指示を受けた業者による人身売買を認めていたから
重大な犯罪だ」
「一方、首相は人身売買以外に暴力や詐欺で慰安婦を強要された被害者を無視している」

尹 
「よその国に国家による性暴力があるからといって、自国の犯罪が無くなるとか、相殺されることはない」
「河野談話や村山談話を否定する政治家の発言が続くと、日本に対する不信感が強くなる」

東郷 
「河野談話でおわびをしても、日本国内でそれと違う意見が出てくるのは、言論の自由があるからと、日本人の中のトラウマが解決できていないから」
「多くの日本人が何とかしようと思い、河野談話を出し、アジア女性基金で「償い事業」をしたが、韓国には受け入れられなかった」
「解決のための『もう一歩』があり得るのではないか。元慰安婦に誠意を込めて思いを伝える。女性基金の『償い金』は民間の募金だったが、今後は政府の予算で出す、という考え方」

尹 
「なぜ多くの被害者が反対する(アジア女性)基金を急いだのか。慰安婦問題の解決は、お金だけの問題ではない」
「被害や謝罪を否定するような発言は処罰されるべき」
「(韓国視点を日本の子供が共有する)教育は大切」
「これらの過程を経て真の謝罪ができ、被害者の名誉回復ができる」
「韓国人被害者は日韓市民の連帯を心から願っているはず」

小野沢
「『慰安婦』問題の解決とは、被害者が納得し、その尊厳が回復されること」
「加えて、世界中で今日も起きている戦時性暴力は許されない犯罪である、その被害をなくすという長期的課題に役立つものである必要がある」
「本当に女性の人権問題と考えるのなら、日本政府は韓国だけでなくアジアをはじめとする国々に多数存在する被害者に対して、ひるがえらない正確な事実認定と公式謝罪を行い、法的責任を果たすことが必要」


「慰安婦問題の解決を最も難しくしたのは1965年の日韓請求権協定」
「協定はサンフランシスコ講和条約に沿って結ばれ、財産権と請求権のやりとりだけ、人道に反する犯罪はもちろん、植民地支配の清算もできていない」

東郷 
「1965年の日韓国交正常化に伴う一連の協定があり、請求権協定で、請求権問題は完全かつ最終的に解決され、法的責任は認められないのが日本の立場、韓国側に法的責任を認めろと言われると、できることができなくなってしまう」
「日本が『もう一歩』の行動をとろうとしても、和解に結びつけるには韓国側の理解と行動が必須」
「外交の鉄則は相手の意見を理解し、100点を求めないということ。相互理解を深め、お互いに51点、つまり半分以上譲ることが大切」

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